iPhone修理の総務省の登録修理業者制度とは?登録業者に実情を聞いてみた

最近、iPhoneの修理店のHPで「登録修理業者制度の登録業者」という表記を見かけるようになりました。「登録修理業者制度」とは、どんな制度なのでしょうか?

この記事では、総務省の「登録修理業者制度」に登録しているiPhoneの修理専門店「あいさぽ」(登録番号:R000020T000020)を運営している株式会社白狼の望月さんに制度についてインタビューしました。望月さんは、「登録修理業者制度」の発展を促進する「携帯端末登録修理協議会」の理事も務められています。

よろしくお願いします。早速ですが、総務省の「登録修理業者制度」とはなんですか?
はい。よろしくお願いします。「登録修理業者制度」を簡単に説明すると、修理の箇所及び修理の方法が適正であって修理後の無線設備(スマホや携帯電話)が「技術基準※」に適合していることを自らが確認できる等、電波法で定める登録の基準に適合する場合に、総務大臣の登録を受けることを可能とするものです。

※技術基準とは、「無線端末が電波法と電気通信事業法の技術基準に適合しているか?」を審査する制度のことです。「技適」と略されることが多いです。日本国内では、技適の審査に通った端末のみ使うことが許可されます。技適の審査に通った端末には「技適マーク」が付けられます。

ユーザーさんが登録修理業者制度に登録しているiPhone修理店を選ぶメリットはなんでしょうか?
iPhoneを安心して預けられるということですね。制度の概要には修理技術だけでなく、個人情報や端末内部のデータの取扱いに関する厳しい決まりもありますので、ユーザーさんは安心してiPhoneを預けて頂けます。
修理業者が登録修理業者制度に登録するメリットはなんでしょうか?
現時点では、「安心・安全・技術」を対外的にアピールできる点ですね。「技適にあった修理が可能という技術力のアピール」がメリットです。ただ、登録済み機種に限ります。
仮に修理したスマホが電波法違反になっている状態で使った場合、罰則はあるんですか?
懲役や罰金を課せられる可能性がありますね。

※インタビュー後に調べてみたら電波法に違反すると「1年以下の懲役または、100万円以下の罰金になる」と規定されていました。

2 不法無線局の罰則 第110条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
総務省|東海総合通信局|電波法抜粋

これまで電波法違反になった修理業者はいるんですか?
これはいないですね。
登録修理業者制度に登録していない修理業者は違法なのでしょうか?
修理業者が登録修理業者制度に登録していなくても、必ずしも違法ではありません。

ただ、修理によって電波法で規定する無線設備としての性能に変更が生じたときは、修理ではなく変更の工事に当たるため、技適に係る表示(技適マーク)の除去が必要です。また、表示の除去を行わなかった場合は、電波法第112条1号、第114条第2号により罰則が適用されます。

仮に修理店が技適マークを除去したとしても、技適マークがないスマホを使うと今度はユーザーさん側が電波法違反になります。

登録業者の場合、届け出た修理箇所に限り、技適マークを維持できるので、ユーザーさんは修理した端末を安心して使用できます。

では、登録修理業者制度によって、登録した修理業者の修理は合法と証明できるわけですね?
そうですね。ただ、登録済み機種に限ります。

登録修理業者制度を知ったきっかけは何でしたか?
2014年の4月に電波法の改正が行われました。その中に、登録修理業者制度の内容も盛り込まれていたんです。

2015年4月に改正した電波法が施行したんですが、「この登録修理業者制度をどうやって進めたらいいのか?」と悩んでいたんですね。

電波法の存在自体も「こんな法律もあるんだ」という程度の認識だったので、登録修理業者を独自で申請するのは相当ハードルが高い。と考えていたところ「携帯端末登録修理協議会」が設立されたんですね。

ここに参加して勉強すれば、自社も登録までたどり着けるのではないかと思って、制度に対しての理解を深めていきました。

「携帯端末登録修理協議会」とは、どんな組織なのですか?
登録修理事業者制度の発展と促進を目的にしています。修理会社やキャリア、端末メーカーなどが参加しています。
登録修理業者制度の登録にかかる時間はどのくらいですか?
初めて申請するとおそらく書類を受理されてから1カ月〜2カ月かかると思います。
登録修理業者になるためにはどんな手続きが必要なんですか?
「決められた様式の書類」「修理した端末の測定データ」「修理工程の手順書を含む修理方法書」の提出が必要です。

「決められた様式の書類」は、修理店が申請しやすいように総務省がガイドラインや申請書の書き方を非常に分かりやすく作っています。書類は「総務省 電波利用ホームページ | 登録修理業者制度」の「3.登録修理業者制度に係る規定等」から入手できます。

「修理した端末の測定データ」とは、簡単に言うと「修理した端末がどんな電波を出しているのか?」ということです。端末は技適を通る時にいくつかの検査項目があるのですが、修理した後も電波が検査項目の範囲内に収まっているかを確認します。「修理した端末の測定データ」の提出が一番費用のかかるところです。

「修理工程の手順書」は、実際の修理工程ですね。端末本体を分解して、部品を交換して戻すという一連のフローを事細かく手順書として作って、証拠書類として出すことが必要です。

制度への登録の中で苦労されたことはありますか?
法律の理解ですね。条文の記述を理解するのが大変でした。

また、私がやった時は、書類を総務省に受理してもらうまでに3カ月くらいかかりました。書類を直しながら何回かやって受け取ってもらいました。

登録修理業者制度にかかる費用はどのくらいですか?
書類の申請自体は5万700円なんですが、別途端末を技適通りに検査して「修理した端末の測定データ」を出すためには220万円くらいかかります。
220万円!?220万円というのは1端末あたりですか?
1端末あたりですね。登録修理業者制度は「電波法」と「電気通信事業法」という2つの法律にまたがっているので、2つ申請する必要があります。電波法の項目の測定に120万円。さらに電気通信事業法の項目の測定に100万円という形です。

電波法や電気通信事業法の項目通りに測定できる認定機関に依頼をします。

その測定はモデルごとですか?
はい。あくまでも端末の型番通りなので、iPhone6でも、日本国内モデルと海外モデルは型番が違うので、両方扱いたかったら、両方を申請する必要があります。

我々はiPhoneの国内モデルのみ登録しています。

現在も測定の費用は200〜220万円くらいします。ただ、「なかなか登録修理業者が増えない」「費用のハードルの高さがネック」ということを「携帯端末登録修理協議会」の活動で低減していますので、将来的には1端末あたり、20〜30万円くらいまで費用面のハードルは下がると思います。

登録修理業者制度には、「修理箇所」という項目がありますが修理箇所も登録するんですか?
はい、修理箇所を登録するために修理の手順書を出しています。「ここの箇所を修理する時はこういう手順でやります」というのを全部出す必要があります。

なので、「パネル修理しかしません」という業者ならパネル修理の手順だけ出せば良いです。実際、パネル交換とバッテリー交換だけ登録している業者さんもいますね。

iPhoneとAndroidのスマホで手続きは変わりますか?
手続きは一緒です。
現在、制度全体で登録されている端末はiPhoneが多いですか?
iPhoneが多いですね。iPhoneは端末の構造は変わらないからというのが理由の一つです。
「iPhoneは端末の構造は変わらない」とはどういうことですか?
iPhoneの場合、モデルが変わっても部品の構成が一緒なんですね。基盤があって、バッテリーがあってという構造が一緒なんです。Androidの場合、モデルが変わると中身も大幅に変わってしまうので、修理パーツの手配が大変なんですね。
登録が終わった後も年会費は発生しますか?
登録が終わった後も、維持費はかかります。

定期的に「登録した修理方法書通りに修理して同じ測定結果が得られます」という確認をする必要があります。そのための測定費用が発生します。

修理をするユーザーとしては「登録して終わり」ではないのは安心ですね。
そうかもしれませんね。ただ現在は、登録している業者さんでも形だけの「iPhoneを1機種だけ登録」という業者さんも多いので、登録数を増やせるように協議会活動をしています。
言われてみれば、iPhoneを1機種しか登録していなくてもHPに「登録修理業者」と書かれているところもありますね。
そこは今、きちんとユーザーに「登録済みの機種はなに?」と分かりやすく提示しなさいというガイドラインが総務省から出ているので、改善されてきていますね。

今は携帯端末登録協議会でエンドユーザー向けの広報活動と修理業者向けのガイドラインを作っています。例えば、この制度のロゴマークを作っていて、ロゴマークを使っていいのは「登録している機種を明示して、○機種以上登録している業者」というような事を検討しています。

中にはあえて登録修理業者にならない業者も存在するんですか?
いらっしゃいますね。登録費用が高いのと若干の制約はありますからね。登録すると「ここの修理はできていたのに、やってはいけない修理になってしまった」というケースもあります。

例えば、「電波に影響する箇所としてスマホのアンテナと基盤は修理してはいけない」となっています。すると、今までは水没修理で基盤を修理していたお店が基盤の修理ができなくなってしまうんですね。

iPhoneや携帯電話を修理するスタッフさん個人に対する資格・免許などはないのでしょうか? 
iPhoneや携帯電話の修理には特に資格・免許などは必要ありません。ただ、今後は協議会の方では修理技術の民間認定資格などの創設を検討しています。
仮に品質の劣るパーツでiPhoneを修理するとどうなりますか?
iPhoneだと液晶パネル修理で画面が短期間で映らなくなることやタッチパネルが操作出来ない等がありますね。

バッテリー修理の場合、特に低品質なバッテリーは充電を数回しただけでダメになったりすることもあります。あと、iPhoneのバッテリーには制御チップが必要なんですが、制御チップの取り付け方が雑だと発火の原因にもなります。

ただ、「非正規店に出すのはやっぱりダメだね」という考えは広がって欲しくないですね。

「非正規店」という呼び方の聞こえが悪いですよね。
そうですね。我々はできるだけ「民間の修理店」と自分たちでは呼んでいます。制度上は「第三者修理」という名称はありますが、分かりにくいですね。

ユーザーさんが信頼できる修理店を見分けるコツはありますか?
一つは修理価格の見せ方ですね。安いのはいいのですが、本当にその価格で修理を受け付けているのかどうかですね。

表示している価格とお店に行って提示してくる価格が違うお店は少し信頼性に欠けますね。

登録修理業者なら修理部品の品質は保証されていますか?
うーん。一概には言えないですけど、ある程度の修理部品の品質がないと「測定データに当てはまらない」ということはありますね。

修理部品の品質によっては、電波に影響が出ます。結構違うんですよ。「こんなに数値が変わるんだ」ということもあります。

液晶パネルやガラス部分の交換でも電波には影響するんですか?
実はiPhoneの場合、端末のサイド部分(ベゼル)がアンテナの役割をしているので、ここ(下記画像の赤枠)に接する部品によって影響が出る恐れがあります。
iPhoneを修理したいユーザーが登録修理業者かどうかを確認する方法はありますか?
総務省HPの登録修理業者制度」から「登録業者一覧」が見られます。また「登録修理業者の検索(週次)」から検索もできます。

あとは、各修理業者さんが公式ページで発表していれば確認できます。

あいさぽさんの場合、制度に登録する前と後で修理の品質は変わりましたか?
いえ、修理の品質自体は変わらないです。もともとiPhoneの修理の品質を求めていたので、現状のままで登録できました。価格と品質はバランスを取りながらやってきています。
登録修理業者制度は今後どうなって行くと思いますか?
登録修理業者が増えていき、修理店が淘汰されていくと思います。ゆくゆくは登録修理業者じゃないと修理ができないという雰囲気になってくると思います。

全国にiPhoneの修理店は2,000店ほどあるんですが、現在の登録修理業者は500店舗近いので、これが半数超えてくると制度も大きく認知されていくと思います。

登録修理業者制度の登録店舗のアピールポイントがあれば教えて下さい。
そうですね。登録修理業者制度の登録店舗のメリットは店頭の業務フローと修理の作業手順がしっかりと確立されているところですね。

お店によっては、修理するスタッフの自己流になっていることもあります。

それに対して、登録店舗の場合きちんとやっていれば、手順通りやらないといけないので、スタッフ全員が同じ技術と手順で修理します。なので、同じ結果が得られます。

今回のインタビューに応じてくれたお店「あいさぽ 新宿本店」

今回のインタビューに応じてくれたお店は「あいさぽ 新宿本店」です。

「あいさぽ 新宿本店」はJR「新宿駅」東南口から徒歩30秒、丸の内線「新宿三丁目駅」E9出口から徒歩10秒という好立地。

8年間以上のiPhoneの修理実績を誇っており、修理部品や技術の水準が高いです。

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